第26回は宮崎県日南市飫肥にある小玉醸造合同会社【杜氏潤平】です!
九州の小京都と呼ばれる日南市飫肥の城下町は、天正16年(1588)から明治初期までの280年間飫肥藩・伊東氏5万1千石の城下町として栄えた町です。武家屋敷を象徴する門構え、風情ある石垣が残る町並みは、昭和52年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
昭和53年に復元された大手門を中心に、松尾の丸や藩校振徳堂、伊東家の歴史を綴る貴重な資料が展示されている飫肥城歴史資料館があります。また、商人町通りには樽を店頭に置いた商家や格子に壁燈籠、番傘を飾った商家が軒を連ね、町を流れる堀割の清流など、江戸時代を彷彿とさせる町並みです。県内外はもとより、海外からも多くの方々が町を散策に訪れています。
「一途に醸す」
現杜氏である金丸潤平氏のご実家は、宮崎市で【金丸本店】という造り酒屋を営んでいました。明治時代から味噌や醤油そして清酒に焼酎を造っていた五代を数える蔵でした。その後、他の蔵と合併しその蔵は無くなってしまいました。小玉醸造はもとの屋号を【冨士屋】という江戸時代に創業した歴史ある蔵です。かつての飫肥藩主・伊東家発祥の地である伊豆にちなみ、「冨士」という芋焼酎を造っていました。時を経て平成に入ると蔵はしばらくの間、休造状態にありました。金丸潤平氏が東京農業大学農学部醸造学科を卒業した後、埼玉にある清酒蔵・宮崎に戻り二つの焼酎蔵で修行されました。その後、2001年に日南に移り住み【小玉醸造】を継承されました。二十一世紀の幕開けとともに新しい焼酎造りが再び始まりました。二つの蔵の歴史の続きを胸に蔵のテーマである「一途に醸す」を背中に日本の文化そして國酒である焼酎を造り続けています。
『芋焼酎 杜氏潤平』
「繊細」・「調和」・「余韻」をテーマに食用の宮崎紅を使い手造りで醸す焼酎。現杜氏の金丸潤平が初めて先頭に立ち仕込んだ、小玉醸造の代表銘柄。手造りの白麹と大束の「紅芋寿」で仕込んだ焼酎。古酒と新酒をブレンドしない、ワインのような「ビンテージ」焼酎です。
杜氏「潤平」氏が日本酒の蔵で修行していた経験が活かされた手作りの麹で、食用の「紅芋寿」を醸し、古酒をブレンドせず、毎年できた分のみをビン詰めした「ビンテージ」が特徴。
食べ物とのペアリングによってロック・水割り・お湯割り・炭酸割りと様様な飲み方にも対応します。
『一期一会の笑酎に』
金丸潤平氏はこう語ります。
焼酎は一年に一回、その年に収穫された原料を使って造る「一期一会」のもの。いかに気持ち良く発酵してもらえるかを考えながら、真摯に向き合って造っています。「焼酎」が「笑酎」と呼ばれるようになるくらい、多くの人に楽しんで飲んでもらえたらと思っています。
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